「ONEPIECE」とヒューマニズム・・8

ホーディー ジョンズ新魚人海賊団船長(Hody Jones・Captain of the New Fish-man Pirates)は被害妄想の人間憎悪!
 リュウグウ王国の王子・フカボシがホーディー ジョンズと次のような場面があります。
 フカボシが、ホーディーに“何か人類がやったのか”と自分自身が実際に被害を受けたことがあるのかを聞いたとき(What in the wold happened to you in the past ?! What did the humans do to you ?!)、ホーディーは“何も!Nothing!”と答えているのです。
 つまり、特別に人類から被害を受けたことがないのに人類を憎んでいることになります。
 ただ、人類に対する敵意による聖戦と思い込んでいることになります(They live in the hope that their holly war is just,that the humans are all evil!).
英文でそのほかの会話を楽しみますと次のようです。

 The new fish-man pirates are monsters created by hatred.
they live in fear of their ancestors' hatred being forgotten...
そして、They live in the hope that ther holly war is just,that the humans are evil !!!
They desire blood !
They do not even want peace for Fish-man island !!!

This hatred they wield is entirely void...
...Of any kind of experience and will !!
Hody is entirely empty ...There is no substance within him !!!
 (英文はViz mediaより)

つまりは、被害者意識による幻想から人類に対する憎しみに燃えていることになります。
 今日でも、ただ、先入観による憎しみに陥ってることは少なくないと思います。
 オトヒメ王女がシラホシ姫たちに、人類に対する憎しみを助長するようなことを止めて、共食共生の道を求める姿勢は、現代の今に求められていることだと思います。
 お互いの立場の違いと多様性を認め合った平和な道に希望を見出すのです。
 戦争の歴史は、民衆による幻想を煽り意味のない敵意を持つように煽動する権力者たちの欲望と都合で引き起こされているのです。

 話題の幕末の悲劇・会津での戦争も、多くの一平兵、白虎隊の子供や女性は死に、生き残った善良な庶民や一平兵が悲惨な状況を強いられたにもかかわらず殿様以下愚かな戦争を推進した責任者たちはなんだかんだと生き延びました。
 公家とは違い、「武士道」では武士は死ぬことなりとの理を忘れています。
 徳川慶喜は既に将軍を返上して謹慎していたのですから会津の家訓による将軍家のための戦争は既に大義を失っていたと思います。
 慶喜同様に謹慎すれば悲劇は起こらなかった可能性があります。
 歴史的に見れば、戦争は権力者が民衆の悲劇、悲哀と犠牲を軽んじて、ご都合によって引き起こされています。
 そして、その後も被害者意識と敵意の怨念を相手に持ち続ける不幸におちいっています。
長州、薩摩と会津との相克となって憎しみが憎しみの連鎖となったのです。
 オトヒメ王女が危惧した悲劇となりました。

 「ONEPIECE」を見ると正義を唱える海軍や世界政府、政府公認の海賊団・王下七武海が庶民、一般兵たちに“社会正義”を唱えて欺き如何に残酷なことをするかのシーンがしばしば出てきます。
 私は、民衆が如何に騙されているかを知ることができるすばらしい教えのパロディーだと思います。
 「アンパンマン」のやなせたかしとともに尾田栄一郎の「ONEPIECE」は「立場によって変わる“正義”」には、サンジやゾロの言う如く「だからどうした!」の強い意志を持つ必要があるのです。
  
 満州事変を仕掛け太平洋戦争で多くの将兵や庶民たちは満州、東南アジア、国内で犠牲となっています。
 武士道を唱えながら会津の悲劇や昨今の事件で責任を取ることを忘れている体質は幕末から本格化したのでしょうか。
 中国や朝鮮半島などとは、オトヒメ王女やシラホシ姫のような心を持って平和の道を求めましょう。
 決して、武力を否定した平和の道の追及は、“泣き虫でも弱虫・臆病ではない”のです。
勇ましいことを唱える前に、太平洋戦争での敗戦を“武士”らしく反省する必要があります。
 ハワイの奇襲攻撃に始まり、ミッドウエー海戦、ガダルカナル戦で軍艦と航空機の多くを失い、レーダー技術で後れを取ったことで既に敗戦は明確となっています。
 それにもかかわらず、インパールで愚かな作戦を展開しました。
 その後は、会津と同様な過ちを続けたのです。
 つまり、ミンダナオ島では兵士のみならず7割が沖縄民からなる日本人民間人の数万人が犠牲者となっています。
 今なお、“日系人”が迷惑を受けているのです。
 会津やアジア太平洋戦争を勝海舟山岡鉄舟のような戦争の愚を命をかけてやめようとした自活力ある人物がいなかったがゆえの悲劇が起こったのだと思います。

 「ONEPIECE」世代の人たちは、麦わら一味のような国際化した自活力で夢に生きる人たちに成長すると思います。
  私は、麦わら一味の如く、今や国境を超えて自由に動き回れるノマド達が平和な社会を築く時代が来るとの期待です。
 アラバスタ王国のビビを助けて砂漠を旅する時、砂漠の海賊団の親分が,“国境を作ったから自由に動き回れなくなった!”と国境がないことの平和を訴える場面があります。
 ビビが麦わら一味と砂漠を超える時の会話には、世界、国とはを考えさせるやり取りが出てきます。
 ワンピース・ONEPIECEでのアラバスタ王国の攻防では、21世紀的な仲間とは、国とはの在り様や戦いとはを示している一番重要な章だと私は思います。
 ルフィは、アラバスタ王国を地獄に陥れたクロコダイルを撃退して飛ばしてしまっても殺してはいません。
 それは後のインぺルダウンの攻防でクロコダイルのみならずルフィやゾロたちが退治した連中が再びその姿を見せることからわかります。
 つまり、麦わら一味は退治はしても殺してはいないのです。
 そして、ルフィが言うように「俺たち海賊団は権力なんかいらない、夢がある!」に生きようではありませんか!
 「ONEPIECE」のヒューマニズムは、自分が選択した“夢に生き”、“飢餓救済と殺人をしない!”との“立場によって変わらない正義”に「フィエロ&フロー」の爽快感ある心にあります。
麦わら一味は、「和せずながらう」、凡そ学歴とは無縁で命をかける仲間であり、それぞれの夢に生き、共食共生する直心一味です。
 「フィエロ&フロー」は内発的報酬、内部報酬の喜びです(「Dr.ビュート流 健康寿命&平和寿命を延ばすガイド本」参照)。
  
 次からは『「ONEPIECE」とエロス、美&イデア』としてプラトン的洞窟の影から抜け出るための新たなシリーズを始めます。

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