臨床喫茶学クリニック;ケガレ・ケ・ハレの生活律で健康で文化的な生活を!・・5

もう一つの健康情報・・ビタミンEのサプリメントは前立ガンの危険を増す!


 ビタミンEのサプリメント前立腺ガンの発生を増加させるとの論文(Eric A. Kleinら、Vitamin E and the risk of Prostate Cancer,JAMA,306,1549〜1556,2011)がでました。

 ビタミンEのサプリメントは健康な男性の危険を増すと結論しています(Dietary supplementation with Vitamin E significantry increased the risk among health men.)


 2001年から2011年にかけてアメリカ、カナダ、プエルトリコの427施設で登録された健康な男性を調査、追跡したのです。

 もちろん、恣意性を除くために前向き無作為試験が行なわれており、ビタミンE群、ビタミンE+セレン併用群、セレン群、プラセボ(偽サプリメント)群の四群に分けられて追跡されました。

 栄養介入試験が行なわれたのです。

 我が国で良くある過去にさかのぼっての自己申告的聞き取り調査ではありません。 

 例えば、過去の五年間では、1日何倍のお茶を飲みましたかなどのような過去の聞き取り調査ではないのです。


 今回の論文でのビタミンEのサプリメントは、1日400IU, セレンは1日200μグラムの摂取でした。

 2001年から2004年にかけては健康な男性35,533人、2011年には、54,464人が調査対象となりました。

 その結果、2008年までの追跡と2011年まで追跡したビタミン Eやセレンをサプリメントとして飲んだ場合の前立腺ガン発症の危険が増加した成績は次のようになりました。

 プラセボ(偽薬)を飲んだ場合に比した前立前ガン発生の危険が増加した比を示します。

                  2008年   2011年

   ビタミンE群        1.13    1.17

   ビタミンE+セレン群    1.05    1.05

   セレン群          1.04    1.09 


 統計的な有意な差が認められたのは、ビタミンE単独群では、有意に前立腺ガンの発症が増加したとなります

 ビタミンE+セレン群、セレン単独群では、優位な増加があったとは言えませんでした。

 しかし、2008年と2011年とで前立腺ガン発症の危険は年月の経過による増加があるのだと判ります。

 それ故に、論文では、介入試験中止後も前立腺ガンの発症が増す危険が持続する可能性があり、長期に及ぶ追跡調査が必要だとしています。

 いずれにしても健康な50歳以上の男性は、ビタミンEやセレンをサプリメントとして摂取しても前立腺ガン予防には逆効果だということです。

 前回の更年期以後の女性が葉酸などのビタミンや鉄などのミネラルをサプリメントとして摂取することは御利益がないなど、安易な“サプリメント神話”には乗らないようにご用心!

 特に、栄養介入試験として前向き無作為試験がシッカリと行なわれていないようなサプリメントは、今回のようなビタミンEや前回のビタミン類やミネラル類などのサプリメンとでも無駄ずかいどころか、墓穴を掘っている可能性があるということです。

 ビタミン類やミネラル類のように、昔から広く良い、良いと親しまれているようなサプリメントでも、前向き無作為試験による栄養介入試験が行われると既成事実が否定されることは最近は珍しくなりました。

 様式化、定式化、便利化したサプリメントを含む飲食スタイルの再検討が求められていると言えそうです。


 我が国の伝統でアッタと言ってよい四季折々の食材をいろいろ料理しながらの食生活を思い出してください。

 外食のみならず、既に料理された食品や食材を主にしたペットボトルやトレイによるレディメイドの食スタイルは、栄養成分的にはサプリメント摂取と近いかもしれないのです。

 喫茶・茶湯文化のレッスンワンは日常の飲食を含む生活文化なのです。


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