臨床喫茶学・;ケガレ・ケ・ハレの生活律で健康で文化的な生活を!・・3

 もう一つの健康情報・・減塩効果に疑問!


 我が国も減塩が長期的な心血管病予防となると高血圧ガイドラインなどで、1日6グラム未満の減塩を目標としています。

 しかし、最近(7月6日)、国際的に評価の高いコクラインによるレビューで現状の減塩、塩分制限では心血管性疾患の発症や死亡の抑制効果が明らかであるとの結果は得られなかったと発表されたのです(Cochrane review abstract Summary;Reduced dietary salt for the prevention of cardiovascular disease, By T.RS,Ashton,et als. Advice to reduce the amount of salt eaten reduces blood pressure but there is insufficient evidence to confirm the predicted reductions in pleople dying prematurely or sufferring cardiovascular disease).

 コクラン・コラボレーションのサイトや検索機関として評価の高いPubMedによって論文(Full Text)も一般に無料で開放していますから、ご都合主義的な情報より読む値打ちのある情報が得られます。

 また、我が国では、コクランレビューはMN onlineから読むことが出来ます。

 コクランレビューはイギリスの国民健康サービスの一環としてはじめたコクラン コラボレーション(Cochrane Collaboration)として世界的に展開している治療、予防などに関する医療技術を評価する機関であり、我が国でも多くの大学や病院が契約を結んでいます。

 世界中の無作為(ランダム)化比較試験(Randomaized Controlled Trial)を中心とした臨床試験から、根拠に基づいた医療(Evidence-Based Medicine)の情報提供を医療関係者のみならず、一般の消費者に届けるように務めているのです。


 話を減塩効果と心血管性疾患予防に戻します。

 減塩効果と高血圧については、十数年前にも、これまた科学誌として評価の高いネイチャーやサイエンスで疑問ありとの議論が疫学的な調査を中心に問題となりました。

 高塩や減塩について、我が国の秋田県などの疫学調査も含めた減塩効果の有効主張となった疫学的論文を含めて再検討がなされたのです。

 例えば、秋田県での高塩食による脳出血の増加は、貧しさゆえの低栄養が原因だと指摘されたのです。

 また、残念ながら世界の何れの地域だったかは忘れましたが、高塩食がゆえに寿命が短いとされた結果は、木登り等による事故死が多い事が平均寿命を短くする原因だとなったのです。

 その結果、疫学的な調査の問題に加えて、半分以上、三分のニぐらいの人たちが、塩分摂取量がましても高血圧が誘発されないとの指摘がなされたと記憶しています。

 つまり、塩分に対して反応する人と反応しない人があることが問題となったのです。


 今回のコクランレビューでは、追跡機関が6カ月以上の追跡を行なった無作為(ランダム)化比較試験から評価に耐えられるような論文の7編を選定して減塩高価の判定が行なわれたのです。

 論文では、成人を対象とした、食事での塩分摂取制限の介入が行なわれ、死亡または心血管疾患発症に関する検討を行なった論文から選んでいます。

 その結果は次のようにまとめられます。

 ・ 死亡や心血管疾患発症に対して減塩効果は明らかではない。

 ・ 心不全患者に対する減塩が有害であるかどうかについては更に無作為(ランダム)化比較試験による事実の蓄積が必要としています。

 以上より、心不全患者では未だ減塩効果が明らかではないものの、心血管疾患の発症には減塩効果はべネフィット・ご利益はないとなります。


 広く、常識的に思われている、肥満、コレステロールに加えて、減塩効果についも、未だ、“常識”と言うには程遠いレベルなのです。

 無作為(ランダム)化比較試験による栄養介入試験が行なわれると既成の“常識”が崩れる事は少なくないと思います。

 ビタミン類についての“常識”についても、「もう一つの健康情報」を紹介します。


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