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 もう一つの健康情報・・肥満パラドックス(Obesity Paradox)

 日本人でも、肥満パラドックス(Obesity Paradox)が当てはまるとの事実が発表されました。

 肥満とすべての病気も含めた死亡(総死亡)の危険性について、痩せより肥満の方が総死亡が低いことをObesity Paradox(肥満パラドックス)と言います。

 パラドックスについては、フランスで赤ワインをよく飲む人たちの方が長寿であるとの事実をフレンチパラドックスと言って有名となり、我が国にワインブームの火付け役となったことは記憶にあると思います。

 肥満、肥満と我が国では、医療業界を初めとして国民的な“商業化”の状況にありますが、ついに、肥満パラドックスが我が国にも上陸して、学会で取上げられるようになったのです。

 日本人の心臓病での心血管イベントの経過・予後や総死亡が過体重や肥満の人たちの方が正常の体格指数(BMI、Body Mass Index)より痩せの方が良いというのです。

 NMonline(日経メディカル オンライン)で学会ダイジェストとして流されたのですが、マスコミでは取上げられてはいないようですが、第9回心臓病学会(2011年9月23〜25日)で慈恵医大の循環器内科・小武海公明による発表です。

 私は、このはてな日記やDr.ビュート流健康ライフとして愛知県共済生活共同組合のインターネット公開文化講座としてアメリカの長年の調査結果などを中心にして痩せの危険性を取上げ、紹介してきました。

 最近、紹介しました「低コレステロールの方が総死亡率は高い」との事実は、私は、コレステロールパラドックスと名づています。

 特に、我が国では、女性では、コレステロールパラドックスに気をつけなければなりません。

 女子では、更年期以後のコレステロール値は高くなるのが当たり前なのです。

 逆に、コレステロール値が低下して上昇がなければ、何か問題はないかと検討が必要だといえます。

 安易にコレステロール低下薬やコレステロール低下食品に勤しまないことです。


 小武海公明報告では、我が国の人たちを対象として、BMI(Body Mass Index, 体格指数)が大きい方が心臓病で死なないと言うのです。

 心筋梗塞発作などの経過で、心血管系の何らかの再発や総死亡が、過体重、肥満の人たちより正常体重以下の人たちで低率だったとの結果となったのです。

 心血管イベントに影響を与えそうな背景因子としての年齢、性、高血圧、糖尿病、心房細動、貧血(血清ヘモグロビン)、心不全を検査する血漿BNP値などを考慮しても、BMIが高値となる肥満の方が正常以下のBMIより良いとの有意の差を持って良いとの結果が得られたのです。

 つまり、我が国でも、一番問題とされる心臓病でも、西欧同様に、肥満パラドックスは成り立っているとなります。


 BMI(体格指数)は、体重を身長X身長で割った値です。

 身長と体重だけから決まることになります。

 それ故に、痩せや肥満と言っても、脂肪体質、筋肉体質の体格かはBMI(体格指数)値に影響、反映されないことになります。

 つまり、“脂肪肥満”か“筋骨肥満”であるかどうかが判りません。

 痩せでも同様で、同じBMIと言っても“骨と皮痩せ“、”脂肪痩せ”、“筋骨痩せ”かによって『健康度』に影響して相違がでることはBMI指標に反映されません。

 痩せで、低コレステロールの人たちで、感染症脳出血、拒食症、うつ・自殺事故死などが肥満より増加するなどで総死亡が増加するなどの危険があるからです。


我が国では、肥満については、糖尿病学会は日本肥満学会とは異なった基準となっており、国際基準ともずれています。

 そして、日本肥満学会も、肥満症の基準を改定しようとしているほどですから、肥満といっても基準次第だということです。

 一般の人たちは、そのような変動する基準に右往左往して、“医療・健康産業”の陽動商法に引っかからないことです。

 それが証拠に、血中の総コレステロール値に一喜一憂していたら、その値はイマヤ診断基準から外してLDLコレステロール値に変わってしまったではないですか。

 また、スペインやイタリアでは、ファッションモデルが痩せるために拒食症や感染症で死亡する人たちが少なくないとの事で、BMIが18以下となれば採用されないのです。

 また、フランスでは痩せの煽動が罪になるとの検討が国会でなされるほどに、痩せが問題となります。

 それにもかかわらず、我が国では、“原子力発電所安全神話”の如く、“肥満が危険神話”が産官学マスコミによるビジニス的煽動状態と言えます。

 「痩せの方が肥満より危険」との“想定外”となったら、アタラ人生台無しと嘆きことになりかねません。



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