喫茶と健康で文化的な生活への道;:「臨床喫茶学」のための「信天翁喫茶」・・2
・Dr.BEAUT(Dr.ビュート)流ダイエット法; 低コレステロールは危険・・2
「淡食麁茶の今日的な意味・・健全な身体に健全な精神が宿る生活実践力を得るために
「臨床喫茶学・・お互いが平和で心豊かになり健康で文化的な実践生活を学ぶ」
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血中コレステロール値と総死亡率
前回取り上げましたN.Nagoらの論文からの結果のデータ紹介を続けます。
今回は血中の総コレステロール値(TC)とすべての理由を含んだ総死亡率の増減の検討です。
ただし、調査開始後5年以内の死亡者は除いてあります。
Crude(C);5年以内の死亡者を除いた全員の補正なしのデータ
Age-adjusted(AーA);年齢で補正したデータ
Multivariate-adjusted(MーA);年齢、最高血圧、HDL-C,喫煙、飲酒、BMIで補正したデータ
グループとTCとの関係は以下のごとくです。
グループ1(G1);160mg/dl未満群,グループ2(G2);160〜200mg/dl未満群、グループ3(G1);200〜240mg/dl未満群、グループ4(G1);240mg/dl以上群を示します。
オッズ比は、G2を1としており、値が1以上で死亡率は増加を、1以下では死亡率は低下を意味します。
全体での死亡率とコレステロール値
G 男性 女性
C A-A M-A C A-A M-A
G1 1.43 1.47 1.39 0.82 1.37 1.24
G2 1 1 1 1 1 1
G3 1.01 1.07 1.07 0.99 0.86 0.92
G4 0.91 1.24 1.33 1.14 0.99 1.11
全体で死亡率とコレステロール値・・肝疾患での死亡を除く
G 男性 女性
C A-A M-A C A-A M-A
G1 1.33 1.36 1.27 0.80 1.34 1.20
G2 1 1 1 1 1 1
G3 1.03 1.09 1.11 0.99 0.86 0.92
G4 0.94 1.28 1.39 1.15 0.91 0.93
データの結果をみますと疫学的な研究は、データの整理の仕方で、その結果がかわると言うことが、男女、肝疾患での死亡を除いたり、C,AーA,M-Aなどの条件が結果に影響すると判ります。
肝疾患死を除いたデータをワザワザ示したのは、低コレステロールが良くないとの日本脂質栄養学会の主張に対して、日本動脈硬化学会が低コレステロールは肝臓疾患が多く含まれているからだとの主張に反論となる、肝疾患を除いたデータを示したのです。
今回のデータは、低コレステロールによる死亡が多くなるのは肝疾患があるからだとの主張は崩れたことになります。
次に、男女、C,A-A,M-Aとそれぞれの条件を整えてデータが示されているのは、男女、年齢、高血圧、HDL-Cや喫煙、飲酒、BMIなどのコレステロール値に影響しそうな原因や条件をそろえて、コレステロール値そのものの増減が死亡に与える原因となるかをハッキリさせる努力をした研究だといえます。
それ故に、従来の研究結果より、重い意味のある結果なのです。
データの概略は、次のようになります。
・ 男女ともに、肝疾患の有無にかかわり無く、G1の低コレステロールグループ(160mg/di未満群)は死亡率が上がる。
・ 低コレステロール(G1)による死亡率の危険は、年齢、高血圧、HDL-C(善玉コレステロール),喫煙、飲酒、BMI(肥満度)を調整した結果でも、起こる。
・ M-Aによる調整を行なった後の結果は、男女ともに、G1の低コレステロールによる死亡危険は一番高い。
男性では、G1の低コレステロールグループについで、G4のコレステロール値が240mg/dl以上のグループで増加傾向にあると判ります。
女性でも同様の傾向にありますが、肝疾患死を除いたM-Aグループでは、コレステロール値が240mg/dl以上でも死亡率の上昇はないとなります。
また、女性では、コレステロール値が上昇した200〜240mg/dl未満、240mg/dl以上のグループは、グ悪に、死亡率は減少するとの結果を示しています。
つまり、女性は、コレステロール値は高い方が死亡の危険は減少し、安全だとなります。
この結果も、日本脂質学会の言い分に軍配が上がった結果となったのです。