「臨床喫茶学」・・レトロ・モダンの喫茶ワールドでライフスタイルを学ぶ・・11

 日本の国の成熟とはを考える・・9・・平和資本主義家・山田文男・矢作建設社長


平和資本主義を提言する矢作建設社長・山田文男は企業理念として次のように『つちおと』四月号に『日常生活の中でパンと平和の両立を企図する』を記しています。

 『他者の為の平和を作ることを対価として、日々のパンを得ることが可能であるような経済が実現できれば、それは人類全体の平和にとって最も現実的アプローチ』として、その対極的な経営たる、単に『「パンの為のパン」あるいは「もっと多くのパンを」』と『際限の無い飽食を求める言葉』がバブル崩壊後の今も変わっていないことに『日本企業の経営理念がどんどん浅薄なものになって行った』現状を『経営理念を一言で表現すると「繁栄」という言葉になる』ような経営理念からの脱却すべきとしています。

 チェロ演奏を楽しむ山田文男は、音楽の演奏に例えて、バブル期では『自分の演奏を平和の歌にまで昇華させることだけを理念としていた筈のピアニストが、どんなにつまらない演奏をしても高い入場料を払ってくれる多数のお客を得て、スポイルされてしまうのに似ている。理念とはつきつめれば平和の歌を歌う以外にはないが、繁栄とはそれを簡単にスポイルしてしまうもののことだ。人間はそれ程に弱い』としています。

 そして、『2008年のリーマンショックをきっかけとして、この長く続いた世界バブルはついに弾けとんだ。その結果現在のような大不況に日本は見舞われている訳だが、見方を変えればこれは理念をスポイルするものがなくなったというので、企業家にとっては一つのチャンスでもある』との指摘です。

 ピアニストに例えて『バブルが弾けて、お客のこなくなったピアニストがもう一度自らの演奏を平和の歌にまで高めようと再スタートするように、企業家も彼らなりの平和の歌を歌わなければならない時代となったのである』と『企業の持つ独自の専門性に人間的な意味を付与する』ことの必要性を述べています。

 そして、恒久平和の実現のために『如何にして我々日本人が9条の命じる人類の平和を具体的に達成して行くのかということで、それは一人一人の日々の生活によって作って行く』必要性を説いています。

 
 臨床喫茶学の三大理念は次のようです。

 1;人には価値観による選択の自由の権利があり、お互いの多様性の容認を!
 2;良心的な暴力、戦力、戦争、兵役の拒否が出来る権利!
 3:健康で文化的な最低限度の生活をする権利がある!

 共産主義の崩壊は、1;の「人には価値観による選択の自由がありとする多様性の容認を認めなかった」ことにあるのです。

 生き残った現行の資本主義には、利益の最大化を求める資本主義に崩壊の危険性があると思います。

 バブル経済リーマンショックは、まさに、利益の最大化を求めた資本主義による際限の無い利益追求の破綻を意味しているのです。

 利益の最大化資本主義は、貧困・格差社会を助長すると同時に、平和の理念を欠いたGDPを指標とする経済発展の追求は国家間の争いによる戦争誘発の危機があります。

 最近のIT普及によって起こっているアフリカや中東で起こっている「革命」は、貧困格差と臨床喫茶学三大理念の1たる多様性を容認する選択の自由の権利の抑圧にあります。

 そして、経済的な利益追求を国益・国策として膨張しようとする戦争は、我が国でもアジア・太平洋戦争での敗戦の悲劇を招きましたが、その後も世界中で戦争が何時勃発するかの危険な時代は続いています。

 臨床喫茶学三大理念の2たる、良心的暴力、戦力、兵役の拒否とその具現化たる我が国の憲法の前文、九条は人類平和のための文明的な貢献だと判ります。

 つまり、資本主義崩壊の救済となるキーとしての必要条件なのです。

 利益の最大化を求める資本主義によるグローバルな経済追求は戦争の危険に加えて、地球レベルの地球環境資源問題を抱えて、人類が生きる危機に直面しているのです。

 臨床喫茶学三大理念の3たる、人は健康で文化的な最低限度の生活をする権利は、我が国の憲法が保障している必要条件となっています。

 
 喫茶・茶の湯では、岡倉天心が1906年にアメリカで出版した『The Book of Tea』(日本語訳「茶の本」)で高らかに 『もしわれわれが文明国たるためには、血なまぐさい戦争の名誉によらなければならないとするならば、むしろいつまでも野蛮国に甘んじよう』と『満州の戦場に大々的殺戮を行い始めてから文明国と呼んでいる』と喜んで野蛮宣言をしています(村岡博訳、岩波書店)。

 岡倉天心は、1913年にアジヤ人として始めてノーベル賞に輝いたインドの詩人・ラビンドラールタゴールと1901年にインドに訪遊して以来親しく絆を築き、天心死後に訪れて追悼文を寄せているぐらいです。

 そのタゴールは、非暴力・非服従運動による戦争や暴力によらない平和的な運動でインドのイギリスからの独立に導いたマハトマ・ガンジーに敬意してマハトマ(偉大なる魂)の尊称を送っています。

 つまり、天心の『The Book of Tea(茶の本)』にある『血なまぐさい戦争』の否定は、ガンジータゴールらと共通するアジヤに源流のある平和思想だとなります。

 アメリカのキング牧師による非暴力の人種差別廃止運動もガンジーの思想に始まっているのです。

 それ故に、私は本物の喫茶・茶の湯者は良心的非暴力・戦力・戦争の拒否の具現化憲法たる憲法の前文と九条に文明的評価をすると確信しています。

 
 ガンジーは農村のコミュニティーなどの協同組合運動を通してマイクロファイナンス(小規模融資)活動による貧困救済・格差是正に努力しましたが、バングラディシュのノーベル賞受賞者ムハマド・ユヌスのソーシャルビジニスとしてのマイクロファイナンスガンジーらの影響があってのことだと思います。


 今日の利益の最大化を求める資本主義崩壊の危機は、マハトマ・ガンジー、ラヒンドラ・タゴール岡倉天心日本国憲法、山田文男と伝わる平和の価値基準の導入が切迫しているのです。

 また、ガンジー、ユヌスらのソーシャルビジニスの価値基準の導入による貧困救済・格差是正による、人は誰でもが健康で文化的な生活が出来るようにする資本主義の価値基準が不可欠な状況にあります。


 バリバリの企業経営者・山田文男による資本主義への「平和」資本主義の経営理念導入の提言は、不安と不信の時代の資本主義社会瓦解の不幸を救い、平和な社会構築のキーなのです。

 また、臨床喫茶学の三大理念は、日本が平和社会を求めての成熟の道を求めるレトロ・モダンに適う必要条件だとなります。


   『   平和資本主義の経営理念・・山田文男

              日本成熟の道!
      
     平和資本主義の経営理念は利益の最大化を求める資本主義社会による
      世界の崩壊を救う!

       共産主義が価値観による選択の自由を人々から奪ったために
        瓦解した途轍を踏まないために!

      マハトマ・ガンジーは「明日死ぬが如くに生き
       永劫に生きるかの如くに学んだ」知恵と勇気の覚悟だ!
      (Live as if you were to die tommorrow!
Learn as if you were to live foreever!)

      ガンジータゴールと伝わる生の術の強さだ!

        血なまぐさい戦争の名誉によらない東洋の平和な文化
        に尊厳を求めた岡倉天心の志に伝わった!

         日本の憲法の前文と九条に込められた!

          人の差別撤廃と非暴力、不服従の平和の理念は
           キング牧師に伝わった!

           ムハマド・ユヌスのソーシャルビジニス理念の
            貧困と格差撤廃に生きた!

           山田文男の平和の経営理念に生きた!

            臨床喫茶学の三大理念に永劫回帰した!

          喫茶・茶の湯文化は平和な生の術!!

          喫茶・茶の湯文化は日本成熟の道!!!             』