「臨床喫茶学」のための「信天翁(シンテンオウ)喫茶」・・31
「臨床喫茶学」・・お互いが平和で心豊かになり健康で文化的な生活実践法を学ぶ・・31
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「淡食麁茶」の今日的意味・・26・健全な身体に健全な精神が宿る生活実践力を得るために・16・・動脈硬化予知する因子・6・・LDLコレステロール
今回はGardner,C.D.らの論文より、前回のHDLコレステロールに続いてダイエット法によるLDLコレステロールへの影響を取り上げます。
+は増加を、−は低下を意味します。
LDLコレステロール(LDL)の増減
ダイエット法 6ヶ月後 12ヵ月後
アトキンス法 1.7 0.8
Zone法 0.5 0.0
LEARN法 −2.4 0.6
Ornish法 −3.2 −3.8
アトキンス法(超低炭水化物、高脂肪食)では、6ヶ月後、12ヵ月後と+傾向にはありますが、LDLの正常域は100mg/dlレベルにあり、1.7mg/dl、0.8mg/dlレベルの上昇は、ほとんど意味の無いレベルの上昇にあると言えます。
既に取り上げましたように(本シリーズの28回)、Shi,Iらによる論文では、アトキンス法によるLDLは、6ヶ月後+1.0,24ヵ月後−3.0でしたので、LDLへのダイエットによる影響は今回の結果とほぼ同様の傾向があると判ります。
つまり、別々の研究で再現性がある結果だと言うことになります。
しかし、前回取り上げましたHDLの場合は、LDLに比して、正常域がおよそ半分のレベルにありますから、アトキンス法でのHDLの上昇が6ヶ月で+5.1mg/dl、12ヵ月後で+4.9mg/dlの上昇は意味が重いということです。
Zone法(低炭水化物、中脂肪食)では、6ヵ月後+0.5,12ヶ月後0.0と、ダイエットによるLDL増減はほとんどなしと言えます。
LEARN法(アメリカのnational guidelinesによる生活スタイルと高炭水化物、低脂肪食)では、6ヵ月後−2.4、12ヵ月後+0.6と、ダイエットによるLDLの増減はほとんど変化なしです。
Ornish法(高炭水化物、低脂肪食法)では、6ヵ月後で−3.2、12ヵ月後で−3.8と−傾向を示しています。
今回のダイエット法中で、一番のLDLの低下傾向を示す方法と言えます。
LEARN法ともども、高炭水化物食のダイエット法がLDLをマイナス傾向にはあるようです。
しかし、本シリーズの28で取り上げましたアメリカ心臓連合がすすめる低脂肪食法(それでも脂肪摂取量は30%まで)での6ヵ月後の−0.2、24ヵ月後の−0.05よりはOrnish法は良い傾向にありですが、地中海法(オリーブ・ナッツ、中脂肪食)での中脂肪食によるダイエット法で、LDL低下が、6ヵ月後の−4.3、24ヵ月後の−5.6に近い効果を示しており、高炭水化物・低脂肪食がLDL低下に有効とは言えるレベルにはありません。
また、高、中の脂肪食によるダイエット法が、LDLの上昇を誘発するとは言えないと判ります。