「臨床喫茶学」のための「信天翁(シンテンオウ)喫茶」・・27
「臨床喫茶学」・・お互いが平和で心豊かになり健康で文化的な生活実践法を学ぶ・・27
「信天翁喫茶 入門 益荒男が茶の道」(山中直樹著、アマゾン、Dr.BEAUT・ソフィーリッチなどで販売中)
「淡食麁茶」の今日的意味・・22・健全な身体に健全な精神が宿る生活実践力を得るために・12・・動脈硬化予知する因子・3
既に紹介しましたShi,Iら(Weight Loss with a Low-Carbohydrate,Mediterranean,or Low-Fat Diet,N Engl J Med、359,229−241,2008)による論文で恣意性の少ない前向き無作為試験によって、アトキンスダイエット法、地中海ダイエット法、低脂肪ダイエット法による二年間におよぶ比較試験が行なわれ、動脈硬化を予知する因子も検討されて報告されています。
動脈硬化予知因子として、高感度CRP,アディポネクチンとレプチンが取り上げられています。
レプチンは体脂肪量を反映すると考えられている指標です。
ダイエット法の特色は以下の如くです(一日量で示す)。
アトキンス法;超低炭水化物(最大120グラム)、高脂肪食。
カロリー制限はなし。
地中海法;30〜35グラムリーブ油、20グラム以下で一握りの五種類ぐらいのナッツ類、中脂肪・・一日総カロリー摂取の35%まで。
カロリー制限あり・・男子1800キロカロリー
女性1500キロカロリー
低脂肪食法 ;アメリカ心臓連合によるガイドライン
脂肪制限・・一日総カロリー摂取の30%まで。
カロリー制限あり・・男子1800キロカロリー
女性1500キロカロリー
動脈硬化予知因子とダイエット法(いずれもダイエットによる増減で示す。+は増加、−は低下を示す)
ダイエット法 ダイエット開始6ヶ月後 24ヶ月後
高感度CRP アトキンス法 −0.7 −1.3
地中海法 ー0.5 ー0.9
低脂肪食法 −0.2 ー0.5
アディポネクチン アトキンス法 +0.5 +1.3
地中海法 +0.4 +0.8
低脂肪法 +0.1 +0.8
レプチン アトキンス法 −3.5 −2.2
地中海法 −3.3 ー2.9
低脂肪法 −2.6 −2.1
高感度CRPの結果では、低下するのが望ましい。
ダイエット開始後6ヶ月、24ヶ月後のいずれの結果でも、アトキンス法が一番低下が良いと判ります。
続くのが地中海法で、低脂肪法が一番悪いことになります。
アディポネクチンの結果では、上昇するのが望ましい。
アトキンス法で上昇で上昇が一番良く、低脂肪法でアトキンス法に劣ると判ります。
レプチンの結果では、低下が望ましい。
地中海法でよい傾向を示し、低脂肪法で良くないと判ります。
低炭水化物、高脂肪食でカロリー制限無しのアトキンスダイエット法で、高感度CRP低下とアディポネクチン上昇のいずれにあっても、他の地中海法、低脂肪食法より良い結果になったのです。
レプチンでは、長期的には地中海法で一番の結果でした。
一番悪かったのは、低脂肪食法だったのです。
つまりは、高脂肪食のアトキンス法、中脂肪食法の地中海法が低脂肪食法より動脈硬化予知因子の改善が良いことを示しています。
白米、小麦、砂糖を代表とするグリセミック指数の高い食品を最低限にしてグリセミック負荷を少なくすればカロリー制限の無いアトキンス法による空腹感なきダイエット法は持続し易いのだと思います。
ダイエット法として低脂肪法は他の方法に比して良くないと判ります。
我が国では、必要以上に脂肪を減らすことを強調していると思いませんか。
ムシロ、炭水化物を減らすことをガイド、強調すべきだと思います。
Dr.ビュート流のダイエット法ではアトキンス法ほどに炭水化物摂取量はきつくありませんが、前回紹介しましたように私の動脈硬化予知因子が低下、低いレベルで続く結果と一致することが判ります。