「臨床喫茶学」のための「信天翁(シンテンオウ)喫茶」・・18

  「臨床喫茶学」・・お互いが平和で心豊かになり健康で文化的な生活実践法を学ぶ・・18

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 「淡食麁茶」の今日的意味・・13・・健全な身体に健全な精神が宿る生活実践力を養う知識を得るために・2

 NHKテレビ番組による、四人の直木賞受賞作家による“「愛と胃袋」女性作家がヨーロッパで食べて書く”で、角田光代は「神さまの庭」が食、食事が「淡食麁茶」の今日的意味を内包する忘れてはいけない大切な意味・意義を指摘していました。

 角田光代による作品《「対岸の彼女」、「八日目の蝉」、「ひそやかな花園」など》は、究極の人間味、人間的な愛や生き方、人間関係について深いレベルで話題としており、いつも考えさせられ、素晴らしい名文と敬服です。

 今回も、角田光代が日常の茶飯を通うした人間とはが素晴らしい。

 スペインのバスク地方を訪ねて、美食クラブと言われるソシオでの食と人間関係の平等性、家族・一族関係と食を話題としています。

 ソシオの美食クラブは単なる美食クラブではなく、信頼されて入会すれば平等・信頼ある人間関係の上で、それぞれが持ち寄った素材を料理しながら、どんな素材であれ美味しく美しく食べる工夫をして楽しんでいます。

 取り上げられた地域では、家族関係や地域の人間関係が密接であり、今日的課題としての若い世代の個人的自由さへの抵抗感なども取り上げていますが、食の持つお腹を満たすだけではない共同体、人間関係の絆としての大切さに踏み込んでいます。

 私が若い頃、家を離れたら“お腹が空いていないか”、“チャント食べているか”、“チャント食べるように”などと母親や身内の人たちから言われたものです。

 食を介した、案じたり、心配したり、お互いをさらけ出す会話となります。

 空腹・満腹や食べ物が精神に影響を与えること間違いなしで、角田光代の作品「神さまの庭」では、食と人間関係にあって、同坐して同じものを食べながらの人間関係の絆の妙が今日的課題として素晴らしい。

 まさに、「淡食麁茶」の今日的意味の核心をついています。


 また、人間の食の歴史は、健全な肉体に健全な精神が宿る生活実践法と表裏一体です。

 人類は七万五千年前には鋭利な石器・やりや刃を造っていたとの新発見が最近報告されていましたが、肉食動物が食べ残した肉を人類が食することから始まったのですが、道具による狩りによって人類が肉食を積極的に始めたことは、エネルギー効率の良いカロリー摂取となり、筋力増加による二本足歩行や運動・機動力、脂質、蛋白質の摂取の促進となり大脳の発達を促進したのです。

 つまり、肉食は人類の人類たる条件たる二本足歩行と知性発展のキーとなったのです。

 大脳の発達、筋力アップに加えて、肉食によって草食動物のような長い食事時間は必要がなくなり短縮して、知力・人間力、共同・絆力、科学力を身に付ける時間的余裕を生み、知性人、叡知人を意味するホモ・サピエンスたる現生人類への道をすすんだのです。

 知力アップによる道具の開発利用、火の利用、農耕を発展させ、産業革命へと人類は発展したのです。

 人間の食にあて、肉食の持つ意味が如何に大きいかを人類発展史としても知っておく必要がありますので、参考書を紹介します。

 既に、日本人の食材嗜好についての世界順位は紹介しましたが、日本人の食物史についても紹介します。


 ・ 「火の賜物 人は料理で進化した」 リチャード・ランダム著(依田卓巳訳)

 ・ 「肉食の思想 ヨーロッパ精神の再発見」 鯖田豊之著

 ・ 日本食物史」 江原絢子・石川尚子・東四柳祥子著

 ・ 『食の歴史と日本人 「もったいない」はなぜ生まれたか』 川島博之著