「臨床喫茶学」のための「信天翁(アホウドリ)喫茶」・・5

  「臨床喫茶学」・・お互いが平和で心豊かになり健康で文化的な実践生活法を学ぶ・・5

   「信天翁喫茶 入門 益荒男が茶の道」(山中直樹著、アマゾン、Dr.BEAUT・ソフィーリッチなどのネットで販売中)


 「淡食麁茶」の今日的意味・・3

  人は食べ物・食糧(food)ではなく、食事・食餌(meal)を摂るのです。

 つまり、料理法、食事の摂り方が大切だと言うことです。

 食事によって、前回述べたようなエネルギー成分と必須栄養素などの必要栄養素の摂取に加えて、食事が心の栄養ともならなければなりません。

 食事スタイルは、栄養素的成分摂取の満足と心の栄養になる食事が「淡食」の必要条件となります。


  我が国の懐石・会席料理は、一食あたり65品目を用いるとのことですが、エネルギー的には1キロカロリー/1グラムとなるそうです。

 一方、フランスやイタリヤ料理では、一食あたり20品目あまりで、エネルギー的には2.5キロカロリー/1グラムのようです。

 つまり、カロリー的には西欧の料理が豊かであり、品目的には懐石・会席料理が多様だとなります。

  西洋料理では、メインディッシュ(main dish)と言うように、献立の中心が動物性の食材(魚介類を含む)となります。

 日本食では、主食と言って、ご飯、麺類、パンなどを中心にして、副食をいろいろと添えての食材となります。

 西洋料理では、動物性の食材を中心としたカロリー、必要栄養成分も食するとなり、日本食では、カロリーは主食から、必要栄養素などは副食からとなります。

 
  人が必要とする一日のカロリー量は、最低限に必要な基礎代謝エネルギーにプラスして、個々の人たちの運動量などによる消費エネルギーの補充が求められのです。

 一方で、ビタミン類、必須アミノ酸や必須脂肪酸などの補充が必要となります。

 動物性の肉類は、カロリー成分や必要栄養素を豊富に含んでいますが、植物性の野菜、根菜類、キノコ類や果実はカロリー補給的には弱いのですが、必須栄養素と同時に、フィトケミカル(phytochemical)と言われるような病気の予防や健康の維持・増進に役立ちそうな成分補給には必要となるのです。

 また、食生活を豊かにする心の栄養のためにも植物性の食材は大切な役割を果します。

 必要栄養学的に言えば、カロリー摂取には西洋料理形を、多様な食材を用いる懐石・会席料理形が必須栄養素などの摂取には適していると考えられます。


  人間は、動植物からの多様な食材を食しますが、動物の世界では、肉食系と草食系に分けられます。

 草食系の動物は、食事摂取時間が長く、一日中食べている傾向がありますが、肉食系動物は食べる時間は短く、時に、獲物の狩り方次第の食スタイルにあります。

 肉食動物は、筋力あるパワフルな体格をしており、カロリー摂取も有利なようです。

 人間にとっても、メインディシュスタイル(西洋料理)の方が、上述の如く、主食スタイル(日本料理)よりカロリー摂取では、2.5倍ほど有利な食材からなっていると判ります。

 つまりは、ワビ・サビの茶が、和漢の界を紛らかしから始まったように、食事が「淡食」であるためには、和洋の界を紛らかすことによる健康で文化的な料理と食事法であることが求められているとなります。

 健康で文化的な食事を求めて、カロリー、必須栄養素に加えて、必要栄養素の科学を「臨床喫茶学」として実践の基礎を学んでいきましょう。