信天翁喫茶記

 信天翁喫茶的ワビ・サビの自活力ある生き方・・アスクレピオス・・

  「信天翁喫茶 入門 益荒男が茶の道」(http://www.sophyrich.com/)

・・不安の時代の自活力を育む・・

 人々の不安は、最近始まったことではなく、既に紀元前900年頃のギリシャの医神・アスクレピオスの時代から始まっているほどの歴史があるのです。

 ギリシャアテネにあるパルテノン神殿について知っていたり、訪れた人は多いと思います。

 こうした神殿は、アテネの南西のエピダウロスにある医神・アスクレピオス由来のアスクレペイオンと呼ぶ、今日的には、病院・運動・円形劇場・祈りや告白・集会場などの総合健康センターの施設の中にあった一部だったのです。

 アスクレピオスは「常に穏やかな」を意味するのだそうです。

 つまり、人が不安や病気に陥った時には、まずは「常に穏やか」になることが大切であることを示していると思います。

 今日の近代医学の祖といわれる医聖・ヒポクラテスは、紀元前4世紀頃のコス島でのアスクレペイオンでの医師だったのです。

 私たち医師は「ヒポクラテスの誓い」と言って、「患者のために全身全霊」で医療に励めと教えてこられた教えを説いた人です。

 私は、アスクレペイオンが担ってきたように、人々の生きる悩みは身体的な病気のみならず、心理的、社会的のみならず精神的(心霊的)な意味においても良好でなければならないとするWHO(世界保健機構)が意味づけている健康をキーとしています。

 私は「The アスクレペイオン」と名づけて「信天翁喫茶」の文化的意味を加えて取り組んでいます。

 「The アスクレペイオン」では、西欧的なアスクレペイオンのみならず、ワビ・サビの喫茶文化が意味する「麁相のこころ」(正直に慎み深く奢らない心に、閑雅の心を持つ)が内包する「鎮めの自活力あるこころ」を大切と思っています。

 既に話題として取り上げてきましたように、ヒラメ現象的に社会や家庭で活躍してきた人・活躍している人、幼児時代から社会に出るまでの若年者など、それぞれの人たちで“病気”になっている人たちは少なくありません。

 身体的な原因による病気以外に、心理的・精神的・社会的な原因による健康状態が良好でない人たちは少なくありません。

 そうした人たちの多くが、「鎮めの自活力」に問題があるのです。

 表面的には大変立派な成績であり、立派にやって来た子供や人でも、ヒラメ的思考・志向では一生懸命にはなれるが、生活環境の変化や社会的条件の変転には「自活力」を発揮できていない場合が少なくありません。

 グローバル化する社会的変化や流動・変転に、表面的で一面的な価値観に捉われた心情が誘引となり、多様性ある価値観に対応する「鎮めの自活力」に欠けるからです。

 神殿で告白・礼拝するように、市中の山居といわれるような喫茶の場での「常に穏やか」の心を養い、物事を一つの側面からしか見ないヒラメ思考・志向からの脱却することから「自活力」は育まれます。

 次回に、少し実例的な紹介をしたいと思います。