信天翁喫茶記

 「信天翁喫茶 入門 益荒男が茶の道」;:今何故か(http://www.sophyrich.com/)
 ・・不安の時代の生き方を学ぶ・・

  裏千家茶道の点前と所作

 今回、わが著「信天翁喫茶 入門 益荒男が茶の道」では、私の好むワビ・サビの茶の湯の点前とその所作について解説しました。

 本を読んだ人たちから、私の予想外なことに、点前書としては大変詳しいとか、こんな詳しい解説書は初めてだと言われました。
 私としては、特別に詳しく紹介したとは思っていませんでしたから、予想外と驚いています。

 種本としたのは、まず、家元制が成立する直前で、千利休の死後百年を経ての利休の茶の湯の心を伝える総合的解説書たる「南方録」(岩波書店)です。
 「南方録」では、点前での茶道具の配置と所作を十一の陰陽曲天割(カネワリ)を基本とした美的用の配置と身体に優しい理に適った所作となっているのが素晴らしいからです。

 竹野紹鷗から千利休に伝わった西欧的黄金分割の美ではなく、東洋的な陰陽カネワリの美の極意を学んで、ワビ・サビの草庵の茶の心身ともに優しい感覚にあっての鎮めの文化として生きている実感を純化しながら正直にして慎み深いが風雅・閑雅の心を忘れない自活力を育成するのです。

 その上で、私が愛読書とする裏千家十三代家元・円能斉千宗室著「茶の湯道しるへ」(前田文進堂)と三男・井口海仙著「茶道入門」(河原書店、保育社)を基本として裏千家茶道の点前の所作を紹介しました。

 そして、茶の湯は、もてなしの文化として亭主と客との双方向のお互いが相手の立場を考えながらの役割が必要にして不可欠の大切があります。
 つまりは、客の立ち居振る舞いの所作を学ぶのです。

 本書の点前での茶道具の配置や所作の図は、そうした配慮をしながら種本を参考に、私が描きました。

 入門書として、点前については、初歩的道具の扱い方としての道具の解説に続いての割稽古、盆略点前によって点前の流れの基本を学んでから、風炉や炉を用いた薄茶平点前と言うワビ・サビの茶の湯の始めにして終わりと言える点前を学びます。

 そして、主客が対座して茶の湯を楽しみ、私が最も好むワビ・サビの茶と感じる流し点前を取り上げて解説しました。

 つまり、ワビ・サビの茶の湯を楽しむための基準となる点前を取り上げたのです。