信天翁喫茶記

 「鎮めの文化」は「自活力育成文化」・3・・ワビ・サビ文化は公界者が先導

   不安の時代の生活文化・・9                               「信天翁喫茶 入門 益荒男が茶の道」(山中直樹著、http://www.sophyrich.com/)

  ワビ・サビの喫茶文化を今日におよぶ発展の創造者たる武野紹鷗と千利休は公界(クカイ)の自由なノマドジー(開かれた世界に目を向けて移動し、開かれた他者との関係を拡げ続ける生き方をする)的な人たちだったのです。

  私の著書・「信天翁喫茶 入門 益荒男が茶の道」より、昨日に続く200ページに次のように解説しています。

 『皮屋で連歌師歌人の武野紹鷗は陰陽師、医師と交わり、ワビ・サビ喫茶の元祖として体に優しい自然体の美の所作と美的用の道具配置の陰陽カネワリを工夫して千利休に伝え、前衛的美意識へと発展させました。

 魚屋・千利休は自由な公界者の魂が生きていたが故に豊臣秀吉に命を奪われたと言えます。
 以後は次第に中央集権的権力によって「無縁」、「公界」の場は社会的に狭められ、自由な活動は不可能となり、卑賤視の運命が待ち構えていたのです(網野善彦)。

 都合が悪くなれば社会的な蔑視、卑賤視や差別による排除をしようとするのではなく、お互いを認め合って他者と向き合い、愉快な人間関係のみに礼儀作法が成り立つのではなく、お互いの違いの上に成り立つ心の絆・連帯が尊いのです。

 お互いの価値観による選択の自由を認め合った人間関係です。

 ノマトロジー時代への希望は再び自由な公界世界の到来です。』

 陰陽カネワリによる喫茶の点前は、最小限の点前所作と美的用による「鎮め」の思想がキーとなっているのです。

 それ故に、ワビ・サビの喫茶文化は、鎮めの自活力育成を内包していると判ります。
 自由な公界者となるためには、自活力を持たなければなりません。

 迫りくるノマドジー時代では、自活力が必要条件となります。
 益荒男が茶の道から自活力を学びましょう。