頤医が説く健康寿命＆平和寿命・・４
前回までは、「心の豊かさ」が、健康寿命＆平和寿命にとって重要だと言うことを説いてきました。
今回からは、「食の豊かさ」と健康寿命＆平和寿命に話題を移します。
ここでは「食の豊かさ」はお金の豊かさによって高級レストランで食べることを意味するものではありませんから誤解のないように！
私は、健康寿命＆平和寿命にとって最も健全なモデルが日本列島の縄文時代にあると思っています。
縄文時代は旧石器時代末期から新石器時代の始まりでもある一万六千五百年（紀元前１４５世紀）ぐらい前でもさかのぼられて弥生時代の始まる紀元前三世紀中ごろまで長期に及んで続きました。
石器から縄文土器を開発することによって、日本列島では農耕を始める前に定住集団生活を始めたのです。
世界の他の地域では、農耕が開始される前には定住生活は開始されてはいないのです。
縄文土器文化が総合的な生活文化となって定住を可能にした世界的な歴史文化と言えるのです。
狩猟・漁撈・採集と縄文土器によって食べられる食材を増やして確保することが出来るようになり共同生活を開始できたのです。
縄文土器を使うことによって火を使った煮炊きと水晒しによって食べられる食材を増やすことが出来たのです。
例えば、クリやクルミはそのままでも熱を加えれば食べられます。
そのままではアクがあって、アクを抜かなければ食べられないドングリ、トチなどの堅果類を水晒しによってアクを抜いて食べられるように工夫したのです。
今や現代人が忘れてしまったようなトチのような水晒しだけではアクを抜くことのできない食材まで工夫開発を行っています。
今となっては、食スタイルとして国際的に通用するダイエット法として評価の高い地中海法ではナッツなどの堅果類がオリーブ油とともに大切な食材となっています。
縄文時代が進むと焼畑農耕を開始して、根菜類、穀物や豆類までも食材となっています。
アワ、キビ、ヒエ、オオムギ、ソバなどの雑穀類のみならず、縄文後期にはイネも日本列島に伝来して栽培も始めていたのです。
そして、食べるスタイルも血縁者や地縁者たちが食材を料理して囲炉裏などを囲んで心豊かな食スタイルを営んだのです。
縄文時代は平和な共食共生スタイルの社会環境にあったのです。
縄文時代は現代以上に自由に世界的な交流によって、すでに新大陸のアメリカを除く地域からの植物食材の伝来があったのです。
南北からのみならず中国の長江領域から朝鮮半島を介して多様な民族、文化が伝来して共存していました。
縄文時代にはすでに、中国、朝鮮半島のみならず、モンゴル、アムール川地域などの北アジア、東南アジア、インドからメソポタミア、アフリカのサバンナ地域、地中海からヨーロッパに及ぶ食材がすでに日本列島に伝わるほどだったのです。
つまり、今日私たちが食べている８０％に及ぶような食材が伝わるほどの多重な交流があったことになります。
その間にあって、日本列島内の交流も盛んだったのです。
しかし、縄文時代では組織的な殺戮はなかったのです。
つまりは、テリトリー争いや勢力争いのような戦い・殺し合いがなかったのです。
今日的には、わが日本列島が誇るべき日本国憲法の精神たる紛争や問題解決に戦力・暴力を用いることのない、つまり、武力放棄の日本列島の原点があると思います。
狩猟・漁撈・採集・縄文土器の工夫＆作成・料理などと体を使う運動には事欠かなかったのです。
血縁より地縁を主にした平和な共食共生生活がおこなわれていました。
言ってみれば、現代的な健康寿命＆平和寿命にとっては学ぶべき基本が整っていたことになります。
縄文時代の生活習慣には、次のような三大ポイントがあったのです。
１）心の豊かさ
２）食の豊かさ
３）体幹筋＆骨格筋の豊かさ
今日的な健康寿命＆平和寿命にとっての三大ポイントがバランスよく整っていたことになります。
すでに、１）の心の豊かさについては述べてきましたから、今回から２）の食の豊かさに話を移したいと思います。
蛇足ながら付け加えておきますが、１）、２）、３）のそれぞれが独立したことではない相互に密接なリンクをしています。
今後、縄文時代の食材と食生活が今日的に言って如何に理に適っているかと関連させながら「食の豊かさ」を取り上げていきたいと思います。
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