頤醫のグローカルカルチャー志向・・5
「90億人の食」(NATIONAL GEOGRAPHIC 90億人の食 地球と食材の未来)から・・5・・アフリカの沃野の開発; 大規模・中規模・小規模農業の課題
食料確保のためにアフリカのサハラ砂漠以南の沃野の農耕地開発がおこなわれている。
世界の日本を含む官や民間資本主義や中国のような国家資本主義の国々が巨大資金をつぎ込んでアフリカ開発にしのぎを削っているのだ。
アフリカの複雑な民族が混在する国々の民主的とは言えない専制国家との契約を締結して、地域農民の土地などが突如として「そんな話は全く聞いていませんでした」人たちの細々と営んできた畑を「ある日突然トラクターが来て、何もかもつぶしてしまったんです。畑を奪われても、誰も何の補償もありません」と嘆くような巨大資本による横暴な土地開発が行われているようだ。
しかし、飢餓・貧困・格差・差別・再配分などの「立場によって変わらない正義」を何とかして改善し、民衆の生きる活力を高めることが大切となる。
そのためには食料の自給率を上げ、意欲して働ける権利を保障する環境を整えることが必要だ。
現状や今までのままではないような努力が求められ、小規模、中規模、大規模農家が活躍出来なければならない。
必ずしも、先進資本主義的民主国家や国家資本主義的専制国家の行っている開発が人々の平和な生活環境を整えることを意味しない。
頤醫はグローカル思考による社会基盤の改善が不可欠だと考えている。
農業では、地産地消、地産訪消、地産他消が出来るようになる活力が大切だ。
先進国、発展途上国、未開発地域であろうと、縄文時代的な地域の人々の平和な生活と他地域との交流が自由な社会の構築が何よりも優先すべきだと考えている。
アフリカの大地は、動植物や自然環境との共存共栄が優先されなければならず、利益追求のための破壊をしてはならないのだ。
すでに、「90億人の食」の本シリーズ第一回で取り上げの如く、1)農地を拡大しないで、2)今ある農耕地の活用によって生産性を高めれば90億人の食糧を開発するには十分可能だとの認識をキーとする。
加えて、3)資源をもっと有効に使い、4)食生活を見直し、5)食品廃棄物を減らすことによって新たに農地開発は行わなくてもよいとの事実を忘れてはならない。
サハラ砂漠以南の人口は現在の9億2600万人から、2050年までには22億人になると推定されており、世界最大の人口増加率地域だとされている。
そのために外国資本による農地開発が積極的に進められている。
アフリカ内の食糧の自給率を上げ、さらに輸出しようとの計画だ。
中国は国家資本主義による巨大資本を積極的に導入して大規模農地開発を進めている。
政府による外国との契約によって前述の如くに既存の中小規模の農業者の土地を突如として奪うことになるような混乱をも引き起こしている。
しかしながら、強引な大規模開発もスムーズには進んではいないようだ。
政治的、民族的課題、自然環境を含む地域特性。
インフラ整備などと課題は多い。
アフリカ地域の文化特性、食習慣、環境や自然破壊を起こしてはならない。
強権による地域社会の特徴、つまりは、グローカルな発展を考慮することなく国家資本主義や先進国の官や民間資本主義による利益追求思考では、建設的な発展は望めないのだ。
さらに、地域や自然破壊によるアフリカ内部の複雑な民族紛争を誘発、混乱に拍車をかけることにもなる。
飢餓・貧困・差別の問題に積極的に取り組んで地域文化、生活を重んじた民衆の希望を第一優先にすることが不可欠だ。
未開発地域を国家や資本の論理と「立場によって変わる正義」をかざして独善的に進めれば混乱に拍車をかけ、地球環境破壊を誘発することになることを忘れてはならない。
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